農地法・農振法を詳しく解説【白地・青地・種別】【川越を例に】
更新日:2022/1/26:フォントを見やすく修正しました。
こんにちは! 川越市の不動産屋アイエー本社のサイト担当のあさりです(^^)
本日はブラックフライデーですね! 私は今年になって「ブラックフライデー」という言葉を知りました(汗)ブラックフライデーとは元々はアメリカの文化でお得に商品を購入できる日らしいです(^^)
不動産業界ではブラックフライデーは来ていないですが・・・
さて今回は不動産屋さんとして「農地について」コラムを書いていこうと思います!「農地法?農振法?」「白地?青地?」「第1種農地ってなに?」等、川越市を例に分かりやすく解説していきます!
そもそも農地とは?
「農地」と聞くと「農業を行っているところ?」「地目が畑・田になっているところ?」等、色々と考えられると思います。実は、農地の正しい定義は「農地法」によって定められています。
第2条
この法律で「農地」とは、耕作の目的に供される土地をいい、「採草放牧地」とは、農地以外の土地で、主として耕作又は養畜の事業のための採草又は家畜の放牧の目的に供されるものをいう。 (e-govより引用)
農地とは「今現在耕作がされている土地」のことを指します。例え、地目が「宅地」であろうと畑として使っているのであれば「農地」として扱わなくてはいけません。
農地の判断に関しては「現況主義」と言われ「農地かどうかは土地の客観的事実状態」によって決まります。(簡単に言えば、見た目で決めますよ!と言うことです。)また、現在は耕作されていなくても過去には耕作されていて、将来耕作することが予想される土地(休耕地)も農地として扱われます。
「農振法」と「農地法」の関係
農地には農林水産省が定める2つのルールがあります。 農業振興地域制度(農振法)と農地転用許可制度(農地法)です。
2つの制度はどちらも「農地を保護するため」にある制度で上記の図のように繋がり合っています。制度の目的が少し異なり、農振法は「農業用の土地利用の区別について」農地法は「農地転用の許可について」を定めています。
農振法で「農業振興地域の青地白地確認」 農地法で「農地転用のしやすさの種別確認(1種・2種・3種等)」
の確認をすることが出来ます。
農地転用についてより詳しく知りたい方はこちらのコラムも合わせてご覧ください(^^)
農振法(農業振興地域制度)
「農業を振興すべき地域の指定と当該地域の農業的整備のための施策の計画的推進を図り、農業の健全な発展と国土資源の合理的利用に寄与すること」(引用:農林水産省HP)を目的として定められています。
この制度の背景には、日本の農地面積の減少による食料供給力の低下が心配されていることがあります。近年、農地から宅地への転用や耕作放棄等により農地が減ってきています。農振法は「日本の農地を守るため」の制度だと言えますね。
農振法では「農用地区域」(青地)・「農振白地地域」(白地)・「農業振興地域外」の区別をしています。ちなみに、「青地・白地」の区別は各市役所の農業関係の課で確認することができます。
川越市役所の「農政課」に電話すると回答をいただけると思います。対象地の地番を伝えて「青地か白地か知りたい」と伝えると調べてくれます(^^)
〒350-8601川越市元町1丁目3番地1
電話:049-224-5939(直通) 電話:049-224-8811(内線2711) FAX:049-224-8712【川越市農政課HP】
「農用地区域」(青地)【原則転用不可】
農業振興地域の中でも「農業のための土地」「農業に最適な土地」であるため、原則転用は出来ません。農用地区域の設定要件については以下の通りです。
① | 集団的農用地(10ha以上) |
② | 農業生産基盤整備事業の対象地(国が農業のために指定した地域) |
③ | 農道、用排水路等の土地改良施設用地 |
④ | 農業用施設用地(2ha以上又は①、②に隣接するもの) |
⑤ | その他農業振興を図るために必要な土地 |
除外要件(青地から除外するための要件)
「除外要件」(青地から除外するための要件)というものもあり、年に2回しか申請を出すことができません。「農地を守るための制度」の中での「除外申請」になるので容易なものではなく時間もかかります。「除外要件」は農業振興地域の整備に関する法律第13条第2項に定められています。
農業振興地域の整備に関する法律第13条第2項
道路等や地域の農業振興に関する市町村の計画に基づく施設等の公益性が特に高いと認められる事業の用に供する土地
上記以外の場合は、次の要件を満たす場合に限り除外が可能。
ア | 農用地以外の土地とすることが必要かつ適当で、農用地区域以外に代替すべき土地がないこと |
イ | 農業上の効率的かつ総合的な利用に支障を及ぼすおそれがないこと |
ウ | 効率的かつ安定的な農業経営を営む者に対する農用地の利用集積に支障を及ぼすおそれがないこと |
エ | 土地改良施設の機能に支障を及ぼすおそれがないこと |
オ | 農業生産基盤整備事業完了後8年を経過していること |
この法律をもとに各市町村で「除外要件」で定められていますので、ご興味のある方は各市町村のHPをご覧ください。
ちなみに、川越市では以下のように定められています。
あ | 農振農用地以外の土地をもって代えることが困難であること |
い | 農用地の集団化、作業の効率化等、土地の農業上の利用に支障を及ぼすおそれがないこと |
う | 農用地区域内における効率的かつ安定的な農業経営を営む者に対する農用地の利用の集積に支障を及ぼすおそれがないこと |
え | 農用地区域内の土地改良施設の有する機能に支障を及ぼすおそれがないこと |
お | 土地改良事業等を行った区域内の土地に該当する場合は、事業完了の翌年度から8年を経過している土地であること |
内容は「農業振興地域の整備に関する法律第13条第2項」とほぼ同じですね。
「農振白地地域」(白地)
農業振興地域の中でも「農地転用できる可能性がある」地域が「農振白地地域」になります。この転用ができるのか、できないのか、に関しては上記の図をご覧いただけるとわかるように「農地法」の「甲種農地」「第1種農地」「第2種農地」「第3種農地」に関わっていきますので農地法の段落で解説させていただきます(^^)
農地法(農地転用許可制度)
「農地法では、優良農地を確保するため、農地の優良性や周辺の土地利用状況等により農地を区分し、転用を農業上の利用に支障が少ない農地に誘導するとともに、具体的な転用目的を有しない投機目的、資産保有目的での農地の取得は認めないこととしている。」(引用:農林水産省HP)
上記の通り、「農地法」では「良い農地を守り、不要な農地転用を防ぐため」の制度になっております。農地法では「農用地区域内農地」「甲種農地」「第1種農地」「第2種農地」「第3種農地」に分かれています。
農用地区域内農地(青地)【原則転用不可】
市町村が定める農業振興地域整備計画において農用地区域とされた区域内の農地です。農振法の項目で前述した「青地」ですね。農用地区域内農地は原則転用不可です。
甲種農地【原則転用不可】
市街化調整区域内の「農業公共投資後8年以内農地」「集団農地で高性能農業機械」での営農可能農地のことを言います。
約10ヘクタール以上の規模の一団の農地を高性能農業機械(トラクターや乗用田植機など)により農作業が効率的に行える条件を満たす農地なので面積だけでなく形状、傾斜および土性などもポイントになります。甲種農地も農用地区域内農地と同様原則転用不可です。
第1種農地【原則転用不可】
・集団農地(10ha以上) ・農業公共投資対象農地 ・生産力の高い農地 ①~③いずれか1つの要件にあたる場合です。(※2種、3種の要件に該当する農地は除く) ①10ha以上の集団農地内にある農地 ②土地改良事業等の施行区域内にある農地 ③基準的な生産性を超える農地
第2種農地【第3種農地に立地困難な場合に許可】
・農業公共投資の対象となっていない小集団の生産力の低い農地 ・市街地として発展する可能性のある農地 ①~③いずれか1つの要件にあたる場合です。 ①鉄道の駅、官公庁、バスターミナル等からおおむね500m以内の農地 ②市街化区域から500m以内にあり、かつ「10ha以上の集団的農地」から外れている農地 ③1種農地にも3種農地にも該当しない農地
第3種農地【原則不許可(例外的に許可)】
・市街地にある農地 ・都市的整備がされた区域内の農地 ①上・下水道又はガス管のうち2種類以上が前面道路まで埋設されており、かつ500m以内に2つ以上の教育、医療、その他公共施設がある農地 ②鉄道の駅、官公庁、インターチェンジ等から300m以内の農地 ③街区の面積に占める宅地化率40%以上の区画にある農地
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更新
2021/05/14 20:10 内容を分かりやすく変更しました 2021/06/24 目次を追加しました 2021/06/29 16:36 目次を修正をしました 2021/7/15 まとめコラムを追加しました。 2021/11/26 コラムを見やすく補足・更新しました。