川越の不動産屋が判例解説!新築建物の浸水と説明義務の関係
更新:2021/3/6:画像を更新し、追記いたしました。
こんにちは!川越市にあるアイエー本社サイト担当の鮎太郎です。
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5階建てビルを新築したのに豪雨で浸水したために訴訟!
今回解説する裁判で原告となった買主Xさんは、東京のとある物件を購入した後に建物を取り壊し、その土地の上に5階建てのビルを建設しました。問題が発生したのはその翌年で、当時発生した集中豪雨によってビルの1階が浸水被害にあってしまったようです。
これに対して買主Xさんは、物件の売主Yさん及び当該物件の媒介業者であった株式会社Zを相手に、「説明義務違反」による債務不履行につき500万円程の損害賠償請求と、これに対する遅延損害金を支払うようにと訴えたのが今回の裁判の概要です。
裁判の概要と買主Xさんの主張を大まかに確認したところで、まずは今回扱うことになる専門用語について解説していこうと思います。
債務不履行
契約などにより発生した法的な義務を正当な理由なしに履行しない事を「債務不履行」と言います。債務というのは債務者が債権者に対して履行しなければならない法律行為の事であり、債務の履行を怠ると社会通念と照らし合わせてやむを得ない場合を除いては賠償責任が発生してしまうことになります。
ちなみに損害賠償請求は被った被害を金銭によって埋め合わせる事を目的としており(民法416条)、特段の賠償方法についてこだわる必要のない場面では専ら金銭によって賠償することとなっています(民法417条)。
最後に債務不履行について言及されている民法415条について条文も合わせて確認していきましょう!
民法第415条
債務者がその債務の本旨に従った履行をしないとき又は債務の履行が不能であるときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。ただし、その債務の不履行が契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして債務者の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない。
説明義務違反
さて、次に解説する用語は「説明義務違反」というものです。
皆さんも文字からなんとなく「説明義務というものに違反したんだろうな」という事は分かるかと思いますが、それではここで言う義務がどこに規定されているのかについて確認していきましょう!
媒介業者Zの場合
媒介業者Zは不動産の媒介を業務として行っていることから、宅地建物取引業者である事が分かります。宅地建物取引業はそれを行うにあたって宅地建物取引業法という特別法に則って業務を行うこととなるのですが、宅地建物取引業法35条では「契約前に買主さんに説明しなければならない内容」が法定されています。
今回の判例で媒介業者Zさんは、これらの宅地建物取引業者が行うべき説明に不備があったとしてXさんに訴えられてしまったという事になります。
売主Yさんの場合
Yさんの場合は一般の売主さんとなりますので、法律で説明義務が明記されているわけではありません。しかしながら、明記されていないという事は即ち説明義務がないというわけではなく、様々なケースで説明すべき事柄が大きく変化するために、あえて一律具体的に明記していないという側面もあります。
そのために実際の判例ではこの説明義務について、「信義誠実の原則」を根拠に判断される場面が多いようです。
民法第1条2項
権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない。
民法1条2項で謳われる条文の意味を要約すると、「契約は誠実に交わしましょう」という事になります。実務の上では具体的には、「債務を履行しない」、「契約する上で必要な情報を提共しない」、「不利となる情報を開示しない」など以上の事柄が誠実ではない事として判断されています。
それ以外にもケースによって社会通念に照らし合わせて、信義誠実であるかどうかが判断されるため、なかなか把握するのが難しい概念なのかもしれません。
今回の判例ではYさんが意図的に浸水被害に関して黙っていたとして、Xさんに訴えられてしまったようですね!
裁判所の考え
今回は訴えるまでのやり取りがあまりない事例のため、裁判に至るまでの過程の説明は割愛したいと思います。ただ、Xさんは建物付き物件を購入して、建物を取壊したうえで当該土地上にビルを新築したという事は頭の片隅に置いておいてください。
1.本物件の売買契約が成立する以前に浸水被害はあったのか
買主Xさんの訴えでは、浸水する可能性のある土地であったのにも関わらず、売主Yさんと業者Zともにその説明を怠っていたというものがありますが、実際に過去の被害状況は裏付けられる資料に乏しく浸水被害については断定できないという判断となりました。
また、当該土地上にあった取壊す前の物件については、前面道路より玄関部分が20~30cm程度高く作られており、また新築したビルに関しては土地の高さを前面道路相当にまで掘り下げて建築していたという事もあり、それも浸水の原因として影響していると認めました。
2.集中豪雨の被害と瑕疵について
当該物件は今回の集中豪雨の被害にあっていることが証明書により認められますが、大雨の時に冠水しやすいという土地の特性は民法にある「隠れた瑕疵」に該当しないという判断となりました。
また、集中豪雨のハザードマップ上で浸水エリアに指定されている点に関しては、集中豪雨が当該区域全域に及んだ場合のシミュレーションであり、この結果をもって当該物件に瑕疵があるとは認められないと判断されました。
3.説明義務違反についてYさんの場合
Yさんは契約の際に過去の浸水被害に関して「知らない」と回答していたようですが、これは当時の状況を忠実に回答したものと認められました。それに加えて集中豪雨による浸水が、当該土地の瑕疵であるとは言えないために、Yさんに調査や説明をする義務はないとされました。
4.説明義務違反について媒介業者Zの場合
宅地建物取引業法35条については既に前述しておりますが、宅地建物取引業者は契約前にこの宅建業法35条に規定されていることを説明しなければならないこととなっています。
そこで今回の集中豪雨に関する浸水被害などについてですが、実は浸水被害に関しては宅建業法35条1項で羅列されていません。
そのため、浸水被害の有無や過去の被害状況に関して業者Zに落ち度があったという事は出来ず、そのため説明義務違反もしていないと認められました。
さらに信義誠実の原則の視点からも、業者Zは当該土地の浸水状況などを把握していたとは言えないために、この原則に違反しているとは認められないという判断となりました。
裁判所の判決
さて今回の裁判の判決は、Xさんが訴えた「説明義務違反」についてYさんにも業者Zにも認められないことから、Xさんの訴えの棄却という形となってしまいました。
ここからは私の個人的な考察となってしまいますが、実は当該物件の過去の浸水状況は隣地やご近所さんの浸水実績ばかりで、当該土地が浸水したという確固たる証拠が、今回の建物浸水の原因となった集中豪雨の時の記録しかなかったという点がキーになっているように思いました。
もしも、当該物件に関する浸水被害の実績の記録などが市役所などで保管されたりしていた場合には、Yさんが浸水被害に関して一般のそれ相当の注意を払っていなかったとして、過去の浸水実績に対して「知らない」と回答したことについて過失が認められていたかもしれません。
今回の判例から学ぶべきこと
今回は宅建業法35条による説明義務に関して、浸水などに関する被害は調査義務や説明義務が生じないという事を皆さんも良く理解されたかと思います。
皆さんにおかれましては今後引っ越す際、またはXさんのように物件を購入しようとする場合には是非、過去の浸水被害などに関しても改めて不動産屋さんに聞いてみてくださいね!
さて、今回の判例で注目されていた物件調査といえば、私も現地や役所に赴いて何度も行ったことがあります。
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