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川越の不動産屋が悪臭被害について面白い判例をわかりやすく解説!

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更新日:2021/6/22:マーカーを増やし、テーマとリンクを追加しました。

 

こんにちは、川越にあるアイエー本社のサイト担当である鮎太郎です!

とうとう大晦日が目前に迫ってまいりました。皆さんはお正月の準備などはもう既に完了していますでしょうか?

お正月といえばやはり"おせち料理"をイメージする方も多いかと思われます。私調べによりますとおせち料理の始まりは弥生時代にまで遡るとのこと。毎年なんとなく口にしていますが、意外と長い歴史をもつ文化だったんですね~。

さて、今回のコラムは前回に引き続き判例の解説となっています。その内容はみんな大好き猫っこについてです!

それでは早速本題へ参りましょう!

今回のテーマ飼われている動物の引き起こす問題は、飼い主に責任追及できるのか!?

 

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隣人が飼育するにゃんこの糞尿による悪臭被害への訴え!

今回の判例は東京地方裁判所にて平成23年7月29日に判決が出されたものとなっています。その内容は私が見てきた中では珍しい悪臭に関する判例です。皆さんも裁判官になったつもりで裁判の流れを見ていってください!

概要

今回扱う判例で被告となっているのは一軒家に住んでいるYさんです。Yさんは平成15年より自宅で複数の猫を飼育し始めたようですが、次第に猫の糞尿による悪臭被害や敷地を越えて猫が出入りしてしまうといった事態が起こるようになり、近隣住民のXさんたちはそれらの被害に悩まされるようになってしまいました。

 

近隣住民のXさんたちは悪臭被害に対して様々な対策を試みましたが結局改善には至らず、ついには「悪臭被害による不法行為への損害賠償」と「人格権に基づく悪臭発生の差止め」を裁判所で訴えることとなりました。

概要は以上の通りとなっています。つまり猫ちゃんのうんちが臭すぎて訴訟されてしまったわけですね。

それでは専門用語から順に解説していこうと思います!

専門用語解説

今回解説する専門用語は「不法行為」と「人格権」の2種類です。「不法行為」や人格権の根拠となっている「幸福追求権」などは、法学部でも最初の方に履修する内容となっているため、法律を全く勉強したことのない方でも比較的理解しやすい内容だと思います。なんとなく理解できればそれでOKです!

1.不法行為

不法行為という言葉自体は皆さんも耳にしたことがあるのでは無いでしょうか。まずは民法に記されている「不法行為」の条文から確認していきましょう。

民法七百九条

故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

(e-govより引用)

条文にある「故意」とは意図して行うという事を意味し、「過失」とは落ち度による過ちの事を意味します。つまり加害の意思があった場合でも、うっかりミスであった場合でも、他人の権利や保護利益を侵害したら罰則がありますという内容となっているんですね!

 

2.人格権

人格権とはいまいち理解が及ばない点もあるかもしれませんが、これは憲法第13条を根拠とする「幸福追求権」と紐づいた、基本的人権の一つであると解釈されています。しかし現行法では人格権について明記されておらず、概念的に捉えられていいるという状態です。

今回はその中でもおよそ人格権だと理解されている条文についてみていこうと思います。

民法第七百十条

他人の身体、自由若しくは名誉を侵害した場合又は他人の財産権を侵害した場合のいずれであるかを問わず、前条の規定により損害賠償の責任を負う者は、財産以外の損害に対しても、その賠償をしなければならない。

(e-govより引用)

この民法710条により、個人を形成する「身体」、「自由」、「名誉」、及び「財産権」を侵害した場合には不法行為が成立するという事が理解できます。

今回の判例に登場するXさんたちは少なくとも個人の身体、自由、名誉などの侵害を訴え、これを差止めてほしいと請求したわけですね。


(東京地方裁判所・高裁・家庭裁合同庁舎)

猫を飼っているYさんと原告Xさんたちのやり取り

さて、専門用語もなんとなく理解して訴訟に至るまでの流れをおさらいしたところで、今度は訴訟に至るまでにYさんとXさんたちの間でどのようなやり取りがあったのかを見ていきましょう!

1.Xさんたちの猫除け対策を行ったが…

Xさんたちは隣の敷地から度々猫が侵入している状況に対して、猫除けの薬を撒くなどの対処をしたが効果はなかったようです。

2.臭気指数を計測してみた

保健所や区役所または警察根まで相談を持ち込むようになり、ついには業者さんを呼んで臭気指数(悪臭防止法に定める臭気の目安のこと)を計測してみたところ、1回目には臭気指数15、2回目には臭気指数17を観測したそうです。Yさんらが暮らしているエリアでは事業活動による臭気でも臭気指数10が限度であると定められていることから、これらの数値がそうとう逸脱した結果であることが分かります。

(e-gov参照:悪臭防止法)

3.手紙のやり取り

Xさんたちは直接交渉を試みたり、苦情の手紙を投函したり、民事調停(裁判の判決によらず、当事者同士の話し合いにより紛争解決を模索する場)を申し立てをしてみたものの、Yからの返信はあったようですが直接交渉に応じることはなかったようです。

裁判所の考え

ここまではYさんの対応やXさんの主張についてみてきましたが、ここからは今回の裁判で裁判所がどのような事を認めて、どのような点を認めなかったのかを見ていこうと思います。

1.YさんはXさんからの苦情に関して対策を施したのか?

臭気に関しては少なくともXさんたちが最初に苦情を届けた段階から認められ、裁判が行われている現時点でも臭気指数17程度の臭気がある事が認められました。しかしそれに対するYさんの臭気対策に関しましては、防臭炭シートと記載してある段ボールを購入したこと以外については特に認められず、猫の侵入や悪臭への対策を施したとは認めることはできないとしました。

2.悪臭は忍耐限度を越えていたのか?

先述した通りYさんとXさんたちが暮らしている地域には、「事業活動による臭気指数は10以下にしなければならない」とする規則がありました。これについて裁判所は猫の糞尿についての臭気もこの臭気指数の基準に当てはまらないかといえばそうとも言えないため、臭気指数10をはるかに越える臭気指数17という臭気については、やはり忍耐限度を越えていると認められるとしました。

(環境省PDF:においの評価パンフレット)

3.不法行為と損害賠償について

今回の騒動の原因となった猫の悪臭による被害について、裁判所は不法行為が成立すると認めました。そのためXさんたちの主張する「不法行為に対する損害賠償請求」が認められることとなります。

今回の判例で認められた損害賠償請求の内容については、「悪臭が原因で空き室のままとなってしまった賃貸住宅」、「慰謝料」、「裁判を起こすにあたっての弁護士費用」などがあり、これ以外の損害賠償請求には理由がないとして認められませんでした。


裁判所の判決

今回の裁判の判決については皆さんもお察しの通り、原告Xさんたちの主張が認められる形となりました。裁判所はYさんの住居の近隣に悪臭被害が出ているという事を認め、それに伴ってXさんたちの主張する差止め請求と損害賠償請求も一部認めるという判決です。

この判決によってXさんたちは快適な日々を、ようやく幾年か振りに享受できたことだと思います!

 

皆さんは今回の判例ではどのようなポイントに興味を持たれたでしょうか?

私は今回の判例について悪臭による不法行為は成立するという点について特に興味を惹かれました。この「悪臭」の定義については人によって個人差があるものだと思いますが、今回登場した悪臭指数というものを用いれば客観的に規制することが可能となるわけです。

皆さんもぜひお住いの住居の周辺に設定されている臭気指数について調べてみてくださいね笑

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