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川越の不動産屋が解説する「越境」の解決方法とは!【体験談を交えて解説】

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更新日:2021/9/18:関連コラムを追加しました。

 

こんにちは、川越市アイエー本社のサイト担当の鮎太郎です。

皆さん、残念なことに私はまだ見れていませんが、「鬼滅の刃」の興行収入が公開から1ヶ月で223億円に達したようですね!エヴァンゲリヲンの最終興行収入が20億円、エヴァ:Qの最終興行収入が約52.5億円であることを鑑みると、まさに桁違いの大ヒットと言って差し支え無いでしょう。

以前話題となった新海監督の「君の名は」の最終興行収入は約250億円であり、「鬼滅の刃」がこれを抜かすのも時間の問題かもしれません。

さて時間の問題といえば、時間とともに勝手に成長する植物に関する不動産トラブルが連想させられますね。中でも厄介なのが越境に関するトラブルです。

それでは、今回は越境に関するトラブルについて私の体験談をもとに見ていこうと思います!

不動産用語の「越境」の意味とは

「越境」とはその文字からもなんとなく連想されるように、不動産における隣地との境界線を何らかの障害物が越えている状態の事をさします。

例えば自身の敷地から少しだけ木の枝が隣地へと伸びてしまっているようなケースでは、まさに枝が越境しているといってよい状態です。

このような越境物についてですが、具体的にはどのようなものがトラブルになりやすいのでしょうか。

 

よくある越境物とは!

ここでは今まで不動産業者として色々土地を見てきた中で、意外と多い越境物について紹介していきます。

1.植物のツタ

雑草など自然に伸び始めた植物が、土地の所有者の気が付かないうちに境界線を越えて隣地に侵入しているケースがあります。越境している植物を放置してしまうと、どんどん成長して隣地の方に支障をきたす場合もあるために注意が必要です。

2.木の枝

庭に植えた樹木が何年も成長を重ねる中で、根元の部分は敷地内にあるにもかかわらず、木の枝の部分が敷地の上空で隣地に侵入しているケースがあります!

3.木の根っこ

庭に生えている樹木又は竹などの植物などは、目の行き届かない地中でいつの間にか隣地まで侵入しているケースがあります。特に竹のような植物はとても頑丈であり、ブロック塀や家屋なども破損しうる可能性があるために注意が必要です。

4.ブロック塀やフェンスなど

比較的古い物件などでは隣地との境界線上にブロック塀などを積み(芯積みといいます)、工費を半分ずつ負担するといったケースが多くありました。しかし現在では不動産の買い手にとって芯積みのブロック塀なども越境物とみなされます。

5.地下の配管(水道管・下水道管など)

私が扱った物件の中には、以前の持ち主様が通した水道管が隣地に侵入していたというケースがありました。水道管などの埋設管なども木の根っこと同じく、見た目では気が付きにくい越境です。


越境物がある場合の解決方法

さて、このように越境にも様々なケースがありますが、越境の解決方法についても場合によって行える手段が異なってきます

それでは具体的に解決方法を見ていきましょう!

木の枝や木のツタが越境している場合

民法では植物の越境に関して以下のように規定しています。

民法 第233条 竹木の枝の切除及び根の切取り

隣地の竹木の枝が境界線を越えるときは、その竹木の所有者に、その枝を切除させることができる。

(e-govより引用)

条文に書かれている通り、越境している木の枝などは隣地の当事者に木の枝を切ってもらうようにお願いすることが出来ます。越境しているとは言っても所有権は隣地の当事者さんに帰属しているため、勝手に枝を切ってしまうようなことは出来ない事になっているのです。

それに加えて、仮に隣の敷地から枝などが越境してしまっているとしても、実際に支障となる事実が無ければ請求する事が難しくなってきます。なぜなら実害がないのに少し越境しているからといって剪定の要請をする事は、民法1条の3項にある「権利の濫用」に該当して不当な請求と見なされてしまう可能性があるためです。

第1条3項

権利の濫用は、これを許さない。

(e-govより引用)

このような事情があるために可能な限り隣地の方と交渉し、穏便に話を進めていくことが最善の解決策になってきます。

 

木の根っこが越境している場合

民法 第233条2項

隣地の竹木の根が境界線を越えるときは、その根を切り取ることができる。

(e-govより引用)

木の枝は所有者の承諾なく勝手に切ってしまうと違法になってしまいますが、木の根っことなると話が変わってきます。一部の地下の茎が伸びて繁殖する木や竹などの植物は容易に塀や家屋を損傷させる力を持っており、そのためか竹木の根は勝手に切っても良いこととなっています。


枝や根を除去する前の注意点

民法の規定によって所有者の許可なく木の根っこを除去してもいいとはいうものの、根っこを除去してしまっては木そのものが枯れてしまうという可能性も考えられます。これは木の枝の場合でも同じですが、そのようなことが想定されるため、越境した木の根や枝を合意の上で除去する場合であっても、「同意書」などの書面で所有者の意思を明確にしておくことが重要です。

後になってから万が一、木が損傷したことに関してトラブルが発生したとしても、同意書があれば所有者の意思が明確になり、トラブルの回避に役立つ可能性があるためです。

 

地下の配管などが越境している場合

数ある不動産の中には稀に所有者の知らない管などが地下に眠っていることがあります。地下に埋設されている管は目視で確認することが出来ず、何かの機会に地下埋設物を調査した場合や、自治体の水道局などで配管図などを確認した場合などに発覚することがあります。(私の場合は物件査定の際に埋設配管図から発覚しました)

このような場合でもやはり、越境した埋設物を隣地の方に取り除いて貰うようにお願いをしに行くことが簡単な解決方法の一つとなりますが、地下の埋設物は取り出すだけでもそれなりの出費が強いられるため取り除く所有者の方にとってはどうしても眉をひそめるような内容となってしまいます。

確かにいくら違法な越境とはいえども、突然隣地の人から撤去するように要請され何十万も費用が掛かってしまうといわれた暁には、本当に自身が身銭を切って解決すべき問題なのかと疑いたくなってしまいます。身に覚えがない越境なのだとしたらなおさらです。

 

しかし越境されている側としてはそのまま放置されてしまってはたまったものではありません。不動産物件に地下埋設管が越境しているという瑕疵を抱えてしまっては、その不動産の価値が下がってしまうことも考えられるためです。



越境した地下埋設管の解決方法

もしも地下埋設管や地下埋設物が越境しているような状況があるのならば、越境している部分のみを隣地の方に買い取ってもらうという方法もあります!

しかしながら土地を分筆して越境部分だけ買い取ってもらうことに合意してもらえたとしても、当事者それぞれの土地の面積が変わってしまうため、「建ぺい率」や「容積率」などに差が出てきてしまう可能性があります。建築基準法に則って土地を売買するために、不動産業者や行政書士の方に相談するのも手段として考えられると思います。

 

関連記事:建築制限とは具体的にどんな制限があるの?建築基準法に触れながら解説!

同意書や覚書の違いって何?

同意書とは先ほど少し触れた通り、法律行為を行うにあたって相手方の同意の意思を明確に書面に残すための書類の事を指します。書面によって意思を明らかにすることにより、後々トラブルが発生しにくくする効果を期待することが出来ます。その一方で覚書とは、具体的な効力に明らかな違いがあるわけではありませんが、当事者同士が約束したことを覚書として書面に残すことにより、やはり紛争を回避するといった性格がある書類となっています。

同意書や覚書はいずれにせよ意思を明確にして約束事に証拠能力を高める存在ですので、越境問題などのセンシティブな問題の取り決めをする時などには是非活用してみては如何でしょうか。

越境問題は不動産売買に大きく影響します!

不動産を売却する際には売主の責任として物件の瑕疵(法律的な傷という意味)についての責任が問われ、越境物がある場合にはその旨の説明などが義務付けられています。当然買い手にとっては越境という瑕疵があるとしたら、購入自体を避けるか、その分安くできないかを価格交渉をするものだと思われます。

このように些細な越境であっても、不動産売買などの局面に関してはシビアに判定されるのです。

もしも皆さんが保有している物件に関して越境などが発生しているのだとしたら、放置せず早めの解決を図ることをおすすめします。

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